8月分読書まとめ

読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2769ページ
ナイス数:62ナイス

2016年8月の読書メーター 読んだ本の数:10冊 読んだページ数:2769ページ ナイス数:62ナイス 決定版 日本のいちばん長い日 (文春文庫)決定版 日本のいちばん長い日 (文春文庫)感想 映画化作品を昔に見た。(内容は全く覚えていない。題名を覚えていた。)1941年12月8日に至る数日を丁寧に追いかけたのが吉村昭大本営が震えた日ならば、1945年8月14日からの1日を綿密に追いかけたのが本書。50年も前の本だが、当時はまだ存命中の関係者が多数おり、その迫力は圧巻。宮城事件については聞いたことがあるレベルだったが、本書に詳しい。情緒的な文章も見られるものの、戦争に負けるとはどういうことかがよく分かる。軍隊とは巨大な官僚組織だと思っていたが、法手続き論を主張した軍人がいたというのは意外。 読了日:8月26日 著者:半藤一利
70歳! 人と社会の老いの作法 (文春新書)70歳! 人と社会の老いの作法 (文春新書)感想 あたしは、五木寛之を知らない。もちろん名前は知っているが、著書を読んだことがない。敗戦時、11歳の少国民で、朝鮮半島からの引揚者。そして、敗戦から70年ということで、民主主義日本は70歳の老年に差し掛かっていると指摘する。途中、引き上げてこれた者はみな悪人だったから生き残った、とか、老人は使用済み人材であるとか、強烈な言葉がポンポン出てくる。(しかも僧侶を前に!)あとがきを読んで、釈和尚は五木の狂気をいかに引き出すかを狙ったという。その狙いは成功している。肌で戦争を体験している世代の言葉は重く、深い。 読了日:8月25日 著者:五木寛之
対談集「気骨」について (新潮文庫)対談集「気骨」について (新潮文庫)感想 城山三郎の対談集。城山が気心知れた人たちと語り合う。詩人の加島祥造との対談が一番長いのは、そもそも詩人を志した城山ならではか。圧巻はやはり澤地久枝吉村昭との戦争にまつわる対談。特に澤地は城山の担当編集者であったこともあり、熱い会話が繰り広げられる。吉村昭と城山が同い年というのは言われるまで気が付かなかったが、気のおけない、しかしながら、重く深い対談になっている。「流儀」という言葉に秘められた思いなど、城山が好きな読者は読んでおくと良いかも。 読了日:8月23日 著者:城山三郎
ヒトのオスは飼わないの? (文春文庫)ヒトのオスは飼わないの? (文春文庫) 読了日:8月17日 著者:米原万里
指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく (新潮文庫)指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく (新潮文庫)感想 本書こそが、城山三郎が書きたいと思い続けた内容だった、とあとがきにある。城山は怒っている。心底怒っている。国、軍という非人間的な制度に。特定秘密法案や自衛隊の海外派遣に対する強烈な反対論で「リベラル」と思われている城山だが、徴兵免除を蹴ってまで海軍に志願した経歴を持つ。それは愛国の情からであり、だからこそ、城山の怒りはすさまじい。誰もが人を殺し、殺され、遺族になる可能性があるのが戦争であり、簡単に「愛国」などと言うな、その重みをじっくりと咀嚼してみろ、というのが城山の主張なのだろうと思う。 読了日:8月15日 著者:城山三郎
ユーゴスラヴィア現代史 (岩波新書)ユーゴスラヴィア現代史 (岩波新書)感想 チトーとその死後のユーゴスラヴィアの混乱を概観的に知りたくて購入。米原万里がしつこく書いてる、セルビア悪玉論には政治・宗教・文化的な悪意を感じる、という視点ももちろん活かされている。(研究者としては当然か。)社会主義国の中では先進的で、多様な国家が築かれていたとされるユーゴスラヴィアが、ソ連崩壊後は、真っ先に分断されてしまうというのがあまりにも皮肉。冷戦終結後の民族紛争の先行事例になってしまったのが悲しい。少し古いが良書。ただ、手元にバルカン半島の地図を用意しながら読むことをおすすめする。 読了日:8月12日 著者:柴宜弘
関西人の正体 (朝日文庫)関西人の正体 (朝日文庫)感想 しばらく前(20年ほど前)の単行本の新装文庫化。文庫本のあとがきで、著者が「京都と訣別」した経緯(笑)も書かれているが、本文中では「まだ京都に未練があった」ころらしく、京都や関西(!)全体に関しての論考のほうが毒がある。と言うか、大阪に関しては「京都からの視点」が感じられ、若干切れ味が悪く、それがかえってイヤミだったりする。著者が言うように、「そうや、関西は衰退してるよ。東京は繁栄してる。だから言うて、東京のおこぼれにあずかろうなんてさもしい態度はみっともない。どうせなら滅びの美学を」という視点は重要。 読了日:8月8日 著者:井上章一
超・反知性主義入門超・反知性主義入門 読了日:8月4日 著者:小田嶋隆
あたらしい憲法草案のはなしあたらしい憲法草案のはなし感想 ブックレット的な1冊だが、中身は濃い。党派性を極限まで排除したうえで、非常にいやらしい(ホメ言葉)皮肉を込めた内容。巻末に抄録されている「あたらしい憲法のはなし」は、文部省が作ったとは思えないほど、素晴らしい内容である。(まぁ、占領下やったわけで、GHQの検閲が入ってるんだろうけど。)青空文庫で読めるらしいので、敗戦から憲法制定にかけての流れを全くもって無視しがちな今の世代こそ、読んどくべきなんだろう。あたしは感動したよ。 読了日:8月2日 著者:自民党の憲法改正草案を爆発的にひろめる有志連合
悪霊にさいなまれる世界〈下〉―「知の闇を照らす灯」としての科学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)悪霊にさいなまれる世界〈下〉―「知の闇を照らす灯」としての科学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)感想 科学的思考(懐疑的思考)と民主主義は非常に相性がよい、ある仮説を提示して、それをみんなで懐疑的に叩いていき、その過程を生き残り、実験でも確からしいとなったことは、真実に近い。こうした思考訓練を経なければ、良き市民として民主主義を支えることはできない。このような主張に貫かれている。科学者が、自らをわきまえ、政治的発言をしていくことは、市民としての責務である、そしてそのような「正しく疑う」ことのできる次世代を育成していくことが民主主義の維持には不可欠である。セーガンがトランプとかを見たらどんな気持ちやろか? 読了日:8月2日 著者:カールセーガン
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