7月分読書まとめ

2016年7月の読書メーター 読んだ本の数:13冊 読んだページ数:4509ページ ナイス数:73ナイス 悪霊にさいなまれる世界〈上〉―「知の闇を照らす灯」としての科学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)悪霊にさいなまれる世界〈上〉―「知の闇を照らす灯」としての科学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)感想 今、この時期に改めて読み返して、その含意をかみしめている。健全なる懐疑主義の武器は、裏付けをとる、議論のまな板にのせる、権威主義に陥らない、仮説は複数立てる、身びいきをしない、定量化する、弱点を叩き出す、オッカムのかみそり、そして反証可能性。 読了日:7月29日 著者:カールセーガン
困難な結婚困難な結婚感想 さて、この本、本屋さんでは一体どのコーナーに置かれるんだろう。(あたしゃアマゾンで購入した。)結婚、子育てのコーナーに置かれていて、内田センセを知らない読者が手に取った時に、混乱すること多いだろうなぁ、と思ったり。内田センセの忠実な読者にとっては、「持続可能な社会を維持するためには成熟した市民を育成し続けなければならない」というおなじみの論件が展開されているのだけれど。世のオットがこの本を持っていた時のツマの反応というまえがきには笑った。内田センセファンなら安心して読める1冊ですな。少々読者を選ぶかも。 読了日:7月26日 著者:内田樹
濃い味、うす味、街のあじ。濃い味、うす味、街のあじ。感想 京阪神の街場を知り尽くした江さんの新刊。毎日新聞に連載されているものを単行本化。あたしは酒を飲まないヒトで、なおかつそのことを惜しいともなんとも思わないヒトなのだけれど、江さんの本を読む時だけは、あぁ、あたしも酒が飲めたらなぁ…、と思うことしきり。でも、飲む話だけではなく、食べる話も非常に美味しいヒトなので、食べ物屋さんの話だけでも十分すぎる。(江さんの本を読んで、思わず珉珉千日前本店に駆け込んだことがあるw)ヘミングウェイでのお父上とのエピソードは笑えるけど、お店がすごいなぁ、とも思う。達人ならでは。 読了日:7月25日 著者:江弘毅
オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)感想 何度読んでもドキドキしながら、長さを感じずに読ませる本。スターリン独裁時代のソ連スターリン批判からプラハの春にかけてのプラハ、そして現代のロシア(と言っても20年以上前だが)が交錯しながら、甘い思い出と過酷な歴史が紡ぎだされる。米原万里のフィクションではダントツの最高傑作。何度も書いてることだが、嘘つきアーニャをまず予習として読んでから読まれることをおすすめする。これだけのスケールの物語が空々しくないのは、米原の筆力とその経験の賜物。書き出しと結末は決まっていたとのことだが、それも納得。傑作。 読了日:7月24日 著者:米原万里
嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)感想 共産圏(あるいはソ連)の崩壊とは、冷戦終了後の偏狭なナショナリズムの勃興と民族紛争とは、友情とは、誠実さとは、など、様々な観点で考えても、どのような論文やルポルタージュよりも力強く訴えかけてくる本。井上ユリの本で、「ヤスミンカ」も「リッツァ」も健在であることを知ったが、「白い都のヤスミンカ」は何度読んでもやるせなく、また美しい。爽快感とやりきれなさが見事に同居した、米原の最高傑作の1つ。気持ちの悪いナショナリスティックな言論がもてはやされる今日こそ読まれるべき1冊。 読了日:7月22日 著者:米原万里
姉・米原万里 思い出は食欲と共に姉・米原万里 思い出は食欲と共に感想 これは家族にしか書けない。そもそも、米原万里を「万里」と呼べるヒトが他にいるだろうか?(米原が師と仰いだ徳永晴美氏も「万里ちゃん」とか「万里さん」と呼んでたように思う。)米原著作の裏側や意外な(いや、意外ではないかもしれない)繊細さなどが、妹の目線から描かれる秀逸なエッセイ集。米原万里のファンは必読かも。それにしてもこのヒト、米原万里の妹にして井上ひさしの未亡人ってすごいよなぁ。最後の最後に意外な形で「ヤスミンカ」が出てきて、震えた。やっぱ、嘘つきアーニャを読み返そうかなぁ。 読了日:7月21日 著者:井上ユリ
街場の五輪論 (朝日文庫)街場の五輪論 (朝日文庫)感想 東京でのオリンピック、盛り上がってんの?そういや、大阪もオリンピックを招致しようとしてたなぁ。んでもって、まったく盛り上がらず、政府の支援も(お・も・て・な・しも)なく、あっという間に落選したよなぁ。1つの目標に向け走りだした時に、「空気」がそれに異論を唱えることを抑圧する、という指摘は重要。阿川の作品にある、開戦時の海軍大臣が、ことここに至って海軍として開戦に反対はできない、と述べた、というエピソードを思い出す。それから、どんどんいなくなっている戦中派は肌感覚で戦争に反対している、という指摘も。 読了日:7月20日 著者:内田樹,小田嶋隆,平川克美
偉くない「私」が一番自由 (文春文庫)偉くない「私」が一番自由 (文春文庫)感想 没後10年ということで、出版社をまたいだ米原万里フェアをやってるらしい。佐藤優の解説や、「メインディッシュ」の東京外大卒論を酷評してるけど、佐藤の文章に関しては、一応読ませる。卒論については読むのに苦労はしたものの、へぇ、こんな卒論もありなんだ、と感心した次第。著者略歴を見てて、米原が内田センセや平川さんと同い年であることに気がついた。ふーむ、なるほど。オリガ・モリソブナの反語法の解説を読んで、嘘つきアーニャを読み返したくなった。(白い都のヤスミンカ、ね。)米原が、今の日本を見たらどれだけ怒るだろうか。 読了日:7月20日 著者:米原万里
軍艦長門の生涯 (下巻) (新潮文庫)軍艦長門の生涯 (下巻) (新潮文庫)感想 阿川は「保守派」文化人として知られたヒトだが、「リベラル」だった海軍に郷愁を抱いている。今の日本では「保守」と「リベラル」という対立軸ももう成立しなくなっているのかもしれない。(「保守」と「革新」という対立軸は聞かなくなって久しいし。)さて、その阿川が今の日本を見てどう思うのか。世論の「保守化」をいうヒトもあるが、本当にそうか?今の状況を「保守」という言葉ではくくれないと思う。今年は真珠湾から75年の節目。このあと、この国は一体どうなっていくのか、非常に不安。8月15日には城山を読もうと思う。 読了日:7月13日 著者:阿川弘之
軍艦長門の生涯 (中巻) (新潮文庫)軍艦長門の生涯 (中巻) (新潮文庫) 読了日:7月11日 著者:阿川弘之
軍艦長門の生涯 (上巻) (新潮文庫)軍艦長門の生涯 (上巻) (新潮文庫)感想 一体何度目の再読になるやら。阿川もそうなんだけど、ホンマに従軍経験のあるヒトがどんどん鬼籍に入っておられる。あたしの身内にはもう1人もいない。で、従軍経験のある方が、戦争とは、ということを十分に語り尽くすことのないまま、この国は戦後70年以上経ってしまった。こうなると、阿川や城山三郎、あるいは高木惣吉などの著作から、戦争とは?という問いに対する答えを探していかざるをえない。(もちろん大岡昇平でもよい。)果たして、どれだけの「エライ人たち」がそういった、「ナマの兵士の声」に耳を傾けてるんだろう。 読了日:7月8日 著者:阿川弘之
劒岳 〈点の記〉 (文春文庫)劒岳 〈点の記〉 (文春文庫) 読了日:7月6日 著者:新田次郎
八甲田山死の彷徨 (新潮文庫)八甲田山死の彷徨 (新潮文庫) 読了日:7月4日 著者:新田次郎
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