本読みの日々

硫黄島に死す (新潮文庫)

硫黄島に死す (新潮文庫)

 城山三郎の小説はどれも好きなのだが、短編集は初めて。
 どの本を読んでいても(特に第二次大戦につながるものは)城山自身の「静かな怒り」を感じるのだが、この短編集を読んでいてその「怒り」が何であるのかが分かったような気がした。
 文体は抑制されており、常に冷静で静かな筆致なのだが、無駄な死を強制されたことに対する強烈な怒りが、だからこそ、心に突き刺さってくる。