おヤクニンの恐ろしさとは

人民は弱し 官吏は強し (新潮文庫)

人民は弱し 官吏は強し (新潮文庫)

 星新一が自分の父親の苦闘を描いた小説。久しぶりに再読。
 何かのエッセイで、星新一自身が、自分の父親のことでもありなるべく冷静に書こうとしたが、書いていてむかむかして仕方がなかった、と書いていた。
 確かに本書を読むと、こんなことがホントにあるの?というくらい、おヤクニンが民間企業をいじめまくっている。
 戦前の話でもあり、今よりひどいこともあったであろうが、それにしてもすごい。ありとあらゆる嫌がらせ、圧力、無責任。ヤクショの恐ろしさを目の当たりにすることになる。
 では、おヤクニンは何のためにこんなことをするのか?その理由はたった1つ。既得権益の保護、である。おヤクニンに自分の持つ既得権益を守ってもらおうとするヤカラがあまりにも多いから、そしておヤクニンをうまく使って濡れ手で粟を狙うヤカラがあまりにも多いから、こんなことがおきてしまうのである。
 現代のおヤクニンはここまであからさまなことはしないであろうが、にしても、既得権益を守ろうとするヒトビトは今でもたくさんたくさんいるはず。気をつけないと、気がつくとおヤクニンにはめられることになるかも・・・。