12月分読書まとめ

2016年12月の読書メーター 読んだ本の数:11冊 読んだページ数:3510ページ ナイス数:19ナイス 眼前の敵眼前の敵 読了日:12月27日 著者:いしいひさいち
ブラック・ジャックは遠かった 阪大医学生ふらふら青春記ブラック・ジャックは遠かった 阪大医学生ふらふら青春記 読了日:12月26日 著者:久坂部羊
粗にして野だが卑ではない―石田礼助の生涯粗にして野だが卑ではない―石田礼助の生涯 読了日:12月25日 著者:城山三郎
人類が消えた世界 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)人類が消えた世界 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 読了日:12月25日 著者:アラン・ワイズマン
ロッキード疑獄―影の権力者の昭和史〈4巻〉 (だいわ文庫)ロッキード疑獄―影の権力者の昭和史〈4巻〉 (だいわ文庫) 読了日:12月16日 著者:本所次郎
巨額暗黒資金―影の権力者の昭和史〈3巻〉 (だいわ文庫)巨額暗黒資金―影の権力者の昭和史〈3巻〉 (だいわ文庫) 読了日:12月16日 著者:本所次郎
天下り支配―影の権力者の昭和史〈2巻〉 (だいわ文庫)天下り支配―影の権力者の昭和史〈2巻〉 (だいわ文庫) 読了日:12月14日 著者:本所次郎
高級官僚―影の権力者の昭和史〈1巻〉 (だいわ文庫)高級官僚―影の権力者の昭和史〈1巻〉 (だいわ文庫) 読了日:12月13日 著者:本所次郎
これだけは知っておきたい昭和史の基礎の基礎 (だいわ文庫)これだけは知っておきたい昭和史の基礎の基礎 (だいわ文庫) 読了日:12月11日 著者:保阪正康
野中広務 差別と権力 (講談社文庫)野中広務 差別と権力 (講談社文庫) 読了日:12月9日 著者:魚住昭
聖地巡礼リターンズ聖地巡礼リターンズ感想 初期仏教の1冊目(大阪の霊的資源の枯渇もサブテーマ)、中世仏教修験道神道の2冊め、そして3冊目は隠れキリシタンがテーマ。重い内容の中ですごく気になったのが、茨木の隠れキリシタンに絡んで、第二名神の工事現場でキリシタンの墓が発掘されたことに対する、内田センセの「祟られる」という言葉。もちろん、歴史が長い土地の場合、そこで死んだヒトも膨大な数になる訳だが、死者に対する敬意ってのが確かに欠けてるよなぁ、と思う。お墓を潰した高速道路を走るのは、あたしは個人的にはすごくイヤだわ。ふーむ。 読了日:12月5日 著者:内田樹,釈徹宗
読書メーター

11月分読書まとめ

11月の読書メーター読んだ本の数:9読んだページ数:3207ナイス数:31槍ヶ岳開山 (文春文庫)槍ヶ岳開山 (文春文庫)感想槍ヶ岳を開山した播隆上人の伝記小説。例によっての新田次郎節。あたし自身は本格的な登山をするわけではないが、新田の山の小説は非常に読みやすく、また読み応えがある。個人的には、念仏者でありながら開山に執念を燃やしたという、修験道系の道を進んだ播隆上人に非常に興味を覚えた。時代的に江戸後期というのがピンとこなかったが、シーボルト高野長英、大塩の乱などがでてきて、あぁ、なるほど、あのあたりね、という感じ。良書。読了日:11月29日 著者:新田 次郎
代替医療解剖 (新潮文庫)代替医療解剖 (新潮文庫)感想代替医療について、プラセボ効果があるものはあるが、それに頼って通常医療を拒否し、病状が悪化すれば、それは有害以外の何物でもない、との指摘があるが、そうなると思い出すのが米原万里の闘病である。シンは、積極的に代替医療をすすめる医師、消極的に代替医療をすすめる医師と並んで、患者に不信感を与える医師も、代替医療がはびこる要因であるとしている。米原が一時期、通常医療を拒否したのは、かかった医師を全く信頼できなかったことが原因である、と自ら述べている。日本では一般的でないものも含まれるが、色々考えさせられる。読了日:11月25日 著者:サイモン シン,エツァート エルンスト
いまだ下山せず! (宝島SUGOI文庫)いまだ下山せず! (宝島SUGOI文庫)読了日:11月15日 著者:泉 康子
暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)読了日:11月13日 著者:サイモン シン
暗号解読〈上〉 (新潮文庫)暗号解読〈上〉 (新潮文庫)読了日:11月11日 著者:サイモン シン
私は二歳 (岩波新書)私は二歳 (岩波新書)感想全てのお母さんの味方、松田先生の2才児を描いた本。この本、なんと55年前の著である。アメリカの大統領はケネディソ連がまだあってその指導者はフルシチョフ、と、歴史の教科書で習う時代の話。さすがに古さを感じさせる部分は多々あるが、こども賛歌、お母さん賛歌は健在。自分が子供の頃のことを少し思い出したりした。私は赤ちゃんを読んだときは余裕がなかったけど、チビが2歳になって、本書を読むと、かなりしみじみほっこり読めた。いいものは時代を超えていい、という見本。良書。読了日:11月10日 著者:松田 道雄
随縁つらつら対談随縁つらつら対談感想釈先生が、だんじりエディターや哲学する武道家や仏教する精神科医などなど濃い面々との対談、鼎談などを見事にこなしておられるのを見て(読んで)きて、この方って「猛獣使い」やなぁ、と思っていた。で、本書を読んで、違う、この方は傾聴する方なんや、と実感した。ご自身、僧侶としてはかなりトンガッたところをお持ちなのに、お家を訪ねてきて、なんとなく世間話をしているうちに、相手の心の奥底にあるものをあっという間に引き出してしまう。なんや、月忌参りのお坊さんやがな。(お坊さんですw)個人的にはみうらじゅんとの対談がよかった読了日:11月08日 著者:池上 彰,大村 英昭,井上 雄彦,玉岡 かおる,みうら じゅん,香山 リカ,西山 厚,駒澤 勝,杉本 節子,伊東 乾,篠原 ともえ,二木 てるみ,天岸 浄圓
お世話され上手 (22世紀を生きる)お世話され上手 (22世紀を生きる)感想相変わらずいい本を出すミシマ社の1冊。釈先生が、非常に苦手だという自分語りも含めて、いま現代に生きるとは、介護のあり方とは、を問うていく。で、その自分語りを拝読してて思ったのが、釈先生ご自身が、自らは宗教者とは程遠い人柄だと仰ってること。お前は考えすぎるからええ坊さんにはなられへん(大意)というようなことをお祖父様に言われたとのことだが、だからこそ、釈先生が宗教者に求める「トリックスター」であることを実践できておられるのではないか、と僭越ながら考えた次第。構成にあの青山さんもかんでいるとのことで、なるほど読了日:11月07日 著者:釈徹宗
フェルマーの最終定理 (新潮文庫)フェルマーの最終定理 (新潮文庫)読了日:11月02日 著者:サイモン シン
読書メーター

10月分読書まとめ

2016年10月の読書メーター 読んだ本の数:9冊 読んだページ数:2405ページ ナイス数:52ナイス 仏教ではこう考える (学研M文庫)仏教ではこう考える (学研M文庫) 読了日:10月30日 著者:釈徹宗
異端の数ゼロ――数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)異端の数ゼロ――数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ) 読了日:10月29日 著者:チャールズ・サイフェ
国際共通語としての英語 (講談社現代新書)国際共通語としての英語 (講談社現代新書)感想 鳥飼先生の5年ほど前の著。著者が断っているとおり、本書には「役に立つ表現」などは一切出てこず、英語教育とは何か、という内容。あたしも英語をメシの種としてたので、こうした論議には非常に興味があるのだが、前にも書いたとおり、今から40年も前の平泉・渡部論争から、日本における英語教育論は全く進歩しておらず、状況としてはより悪くなっているのでは、とも思われる。じゃぁ、お前はなんで英語に興味を持ったのか?と聞かれると、よく分からない。文字に興味があったのだろうか。入門書ではなく、英語教育に興味を持つ人向け。 読了日:10月20日 著者:鳥飼玖美子
増補版 時刻表昭和史 (角川文庫)増補版 時刻表昭和史 (角川文庫)感想 宮脇俊三が自らもっとも思い入れのある作品と呼ぶ佳作。当初版は一旦絶版になっており、宮脇も非常に残念に思っているのだが、これだけの作品がどうして絶版になるのか、と不思議に思っていた。ふと気づいたのが、本書はまさに「歴史書」であり、歴史の苦手なヒトにはどうにもとっつきにくいということ。各章の主人公は「列車」なのだが、その描かれ方は史記などに見られる紀伝体そのものなのである。あたしは当初版も持っているが、昭和20年8月15日の章は何度読んでも心が震える。 読了日:10月20日 著者:宮脇俊三
私の途中下車人生 (角川文庫)私の途中下車人生 (角川文庫) 読了日:10月17日 著者:宮脇俊三
父・宮脇俊三への旅 (角川文庫)父・宮脇俊三への旅 (角川文庫) 読了日:10月16日 著者:宮脇灯子
マルクスの心を聴く旅マルクスの心を聴く旅感想 うーん、「若マル」を読んでるヒトは読んでみるといいかもしれないけど、ご自身で言われてるように、お風邪のせいか、内田センセの切れ味が今ひとつ。石川先生のマジメなマジメな解説は若マルと同じ。紀行でもないし、対談集というにはボリュームも少ないし。ただ、グリム兄弟が言語学者ってのは知ってたけど、ドイツの統一期(19世紀の)に政治活動で活躍したってのは知らんかった。あくまで若マルを補足する本として読むべきものかも。 読了日:10月12日 著者:内田樹,石川康宏,池田香代子
ホワット・イフ?:野球のボールを光速で投げたらどうなるかホワット・イフ?:野球のボールを光速で投げたらどうなるか感想 何回読んでも面白い。ノーベル賞受賞者じゃないけど、本書は立派な科学的態度で成り立ってるけど、全くなんの役にも立たない。(役に立ったら一番驚くのは著者だろうw)でも、こういう思考は非常に大事だし、面白い。人間はなぜ科学を求めるのか?面白いから。ということが、身をもって体験できる本。 読了日:10月7日 著者:ランドール・マンロー
となりのイスラム 世界の3人に1人がイスラム教徒になる時代となりのイスラム 世界の3人に1人がイスラム教徒になる時代感想 留学生として研究者として、主にトルコ、シリアで過ごした経験(トルコに家もあるそうな)から、「隣人としてのムスリム」を熱く語る1冊。こういう視点の入門書はありそうでないのかもしれない。(著者が専門家でもあるし。)同じ一神教ということで、ムスリムに抜きがたい固定観念を持ってしまっているキリスト教とに比べて、宗教的にゆる~い日本人のほうがかえってうまくムスリムと付き合えるのでは、とも思わせるが、距離のなせるわざなのかもしれない。いずれにしても、ムスリムも多様である、という当たり前の視点が重要。ミシマ社のヒット。 読了日:10月5日 著者:内藤正典
読書メーター

9月分読書まとめ

2016年9月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2230ページ
ナイス数:30ナイス

2016年9月の読書メーター 読んだ本の数:7冊 読んだページ数:2230ページ ナイス数:30ナイス 「意地悪」化する日本「意地悪」化する日本 読了日:9月28日 著者:内田樹,福島みずほ
イナンナの冥界下り (コーヒーと一冊)イナンナの冥界下り (コーヒーと一冊) 読了日:9月23日 著者:安田登
マイナス50℃の世界 (角川ソフィア文庫)マイナス50℃の世界 (角川ソフィア文庫)感想 これまで出版されることのなかった、米原万里シベリア取材同行記。言われてみて初めて、シーナのロシアにおけるニタリノフの便座についてがこの取材だったのだ、と気がつく。こども向けに書かれた取材同行記と、あとから振り返った後記が2本。こども向けに書いていても、米原の批判精神は健在で、大人がハッとする記述も多い。ヤマコーの写真が美しく、そのキャプションとあとがきというか解説を椎名誠が淡々と記している。米原の作品、本当に読めるものがなくなってきた。 読了日:9月21日 著者:米原万里
ポエムに万歳! (新潮文庫)ポエムに万歳! (新潮文庫)感想 中身に全然関係ないけど、この本をエレベーターに乗ってるときに読んでたら、全然知らないおっちゃんから、「ほぉ、ポエムか。風流やなぁ」と感心された。いや、そんな中身やないんです、とはめんどくさいから説明せんかった。オダジマ節が展開されてるのはいつもどおりだが、この本が新潮文庫に入ったというのは少しばかり驚き。考えさせられることの多い良書。 読了日:9月20日 著者:小田嶋隆
無理難題が多すぎる (文春文庫)無理難題が多すぎる (文春文庫)感想 いっとき、ツチヤセンセイの本を愛読したものだが、ほんの気の迷いだったのかもしれない。気づかぬ間にツチヤ師は定年となり、なんと神戸にお住いだという。これから、地下鉄に乗っていて、座っている時に目の前に貧相で咳き込む上品な紳士があらわれたらスマホに見入っているフリをすることにしよう。あるいは、席を譲ってもよい。座り疲れていたら。そもそも師は大阪の地下鉄に乗るなどという冒険を好まれるだろうか?と、なんとなくツチヤ文体になってしまう。140Bとかミシマ社とか、狙い目の書き手が近所にいてはりますが…。 読了日:9月14日 著者:土屋賢二
軍艦武藏〈下〉 (新潮文庫)軍艦武藏〈下〉 (新潮文庫)感想 大和型戦艦2番艦武藏乗員の生き残りに対するインタビューを元に製作されたドキュメンタリー映画の作者が、さらに取材を深めてまとめた労作。先行する吉村や阿川の作品に対して、下士官兵に対するインタビューが大半であることが目立つ。そのことにより、艦上生活や戦闘についての描写は生々しいものとなっているが、これは、当時すでに、将官、佐官の存命者がほとんど残っていなかった、ということでもある。何度も言うように、戦争を肌で知る世代がどんどん彼岸へ渡っている。彼らが、今の日本の進路をどう思っているのか、我々世代は忖度すべき。 読了日:9月9日 著者:手塚正己
軍艦武藏〈上〉 (新潮文庫)軍艦武藏〈上〉 (新潮文庫) 読了日:9月5日 著者:手塚正己
読書メーター

8月分読書まとめ

読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2769ページ
ナイス数:62ナイス

2016年8月の読書メーター 読んだ本の数:10冊 読んだページ数:2769ページ ナイス数:62ナイス 決定版 日本のいちばん長い日 (文春文庫)決定版 日本のいちばん長い日 (文春文庫)感想 映画化作品を昔に見た。(内容は全く覚えていない。題名を覚えていた。)1941年12月8日に至る数日を丁寧に追いかけたのが吉村昭大本営が震えた日ならば、1945年8月14日からの1日を綿密に追いかけたのが本書。50年も前の本だが、当時はまだ存命中の関係者が多数おり、その迫力は圧巻。宮城事件については聞いたことがあるレベルだったが、本書に詳しい。情緒的な文章も見られるものの、戦争に負けるとはどういうことかがよく分かる。軍隊とは巨大な官僚組織だと思っていたが、法手続き論を主張した軍人がいたというのは意外。 読了日:8月26日 著者:半藤一利
70歳! 人と社会の老いの作法 (文春新書)70歳! 人と社会の老いの作法 (文春新書)感想 あたしは、五木寛之を知らない。もちろん名前は知っているが、著書を読んだことがない。敗戦時、11歳の少国民で、朝鮮半島からの引揚者。そして、敗戦から70年ということで、民主主義日本は70歳の老年に差し掛かっていると指摘する。途中、引き上げてこれた者はみな悪人だったから生き残った、とか、老人は使用済み人材であるとか、強烈な言葉がポンポン出てくる。(しかも僧侶を前に!)あとがきを読んで、釈和尚は五木の狂気をいかに引き出すかを狙ったという。その狙いは成功している。肌で戦争を体験している世代の言葉は重く、深い。 読了日:8月25日 著者:五木寛之
対談集「気骨」について (新潮文庫)対談集「気骨」について (新潮文庫)感想 城山三郎の対談集。城山が気心知れた人たちと語り合う。詩人の加島祥造との対談が一番長いのは、そもそも詩人を志した城山ならではか。圧巻はやはり澤地久枝吉村昭との戦争にまつわる対談。特に澤地は城山の担当編集者であったこともあり、熱い会話が繰り広げられる。吉村昭と城山が同い年というのは言われるまで気が付かなかったが、気のおけない、しかしながら、重く深い対談になっている。「流儀」という言葉に秘められた思いなど、城山が好きな読者は読んでおくと良いかも。 読了日:8月23日 著者:城山三郎
ヒトのオスは飼わないの? (文春文庫)ヒトのオスは飼わないの? (文春文庫) 読了日:8月17日 著者:米原万里
指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく (新潮文庫)指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく (新潮文庫)感想 本書こそが、城山三郎が書きたいと思い続けた内容だった、とあとがきにある。城山は怒っている。心底怒っている。国、軍という非人間的な制度に。特定秘密法案や自衛隊の海外派遣に対する強烈な反対論で「リベラル」と思われている城山だが、徴兵免除を蹴ってまで海軍に志願した経歴を持つ。それは愛国の情からであり、だからこそ、城山の怒りはすさまじい。誰もが人を殺し、殺され、遺族になる可能性があるのが戦争であり、簡単に「愛国」などと言うな、その重みをじっくりと咀嚼してみろ、というのが城山の主張なのだろうと思う。 読了日:8月15日 著者:城山三郎
ユーゴスラヴィア現代史 (岩波新書)ユーゴスラヴィア現代史 (岩波新書)感想 チトーとその死後のユーゴスラヴィアの混乱を概観的に知りたくて購入。米原万里がしつこく書いてる、セルビア悪玉論には政治・宗教・文化的な悪意を感じる、という視点ももちろん活かされている。(研究者としては当然か。)社会主義国の中では先進的で、多様な国家が築かれていたとされるユーゴスラヴィアが、ソ連崩壊後は、真っ先に分断されてしまうというのがあまりにも皮肉。冷戦終結後の民族紛争の先行事例になってしまったのが悲しい。少し古いが良書。ただ、手元にバルカン半島の地図を用意しながら読むことをおすすめする。 読了日:8月12日 著者:柴宜弘
関西人の正体 (朝日文庫)関西人の正体 (朝日文庫)感想 しばらく前(20年ほど前)の単行本の新装文庫化。文庫本のあとがきで、著者が「京都と訣別」した経緯(笑)も書かれているが、本文中では「まだ京都に未練があった」ころらしく、京都や関西(!)全体に関しての論考のほうが毒がある。と言うか、大阪に関しては「京都からの視点」が感じられ、若干切れ味が悪く、それがかえってイヤミだったりする。著者が言うように、「そうや、関西は衰退してるよ。東京は繁栄してる。だから言うて、東京のおこぼれにあずかろうなんてさもしい態度はみっともない。どうせなら滅びの美学を」という視点は重要。 読了日:8月8日 著者:井上章一
超・反知性主義入門超・反知性主義入門 読了日:8月4日 著者:小田嶋隆
あたらしい憲法草案のはなしあたらしい憲法草案のはなし感想 ブックレット的な1冊だが、中身は濃い。党派性を極限まで排除したうえで、非常にいやらしい(ホメ言葉)皮肉を込めた内容。巻末に抄録されている「あたらしい憲法のはなし」は、文部省が作ったとは思えないほど、素晴らしい内容である。(まぁ、占領下やったわけで、GHQの検閲が入ってるんだろうけど。)青空文庫で読めるらしいので、敗戦から憲法制定にかけての流れを全くもって無視しがちな今の世代こそ、読んどくべきなんだろう。あたしは感動したよ。 読了日:8月2日 著者:自民党の憲法改正草案を爆発的にひろめる有志連合
悪霊にさいなまれる世界〈下〉―「知の闇を照らす灯」としての科学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)悪霊にさいなまれる世界〈下〉―「知の闇を照らす灯」としての科学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)感想 科学的思考(懐疑的思考)と民主主義は非常に相性がよい、ある仮説を提示して、それをみんなで懐疑的に叩いていき、その過程を生き残り、実験でも確からしいとなったことは、真実に近い。こうした思考訓練を経なければ、良き市民として民主主義を支えることはできない。このような主張に貫かれている。科学者が、自らをわきまえ、政治的発言をしていくことは、市民としての責務である、そしてそのような「正しく疑う」ことのできる次世代を育成していくことが民主主義の維持には不可欠である。セーガンがトランプとかを見たらどんな気持ちやろか? 読了日:8月2日 著者:カールセーガン
読書メーター

7月分読書まとめ

2016年7月の読書メーター 読んだ本の数:13冊 読んだページ数:4509ページ ナイス数:73ナイス 悪霊にさいなまれる世界〈上〉―「知の闇を照らす灯」としての科学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)悪霊にさいなまれる世界〈上〉―「知の闇を照らす灯」としての科学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)感想 今、この時期に改めて読み返して、その含意をかみしめている。健全なる懐疑主義の武器は、裏付けをとる、議論のまな板にのせる、権威主義に陥らない、仮説は複数立てる、身びいきをしない、定量化する、弱点を叩き出す、オッカムのかみそり、そして反証可能性。 読了日:7月29日 著者:カールセーガン
困難な結婚困難な結婚感想 さて、この本、本屋さんでは一体どのコーナーに置かれるんだろう。(あたしゃアマゾンで購入した。)結婚、子育てのコーナーに置かれていて、内田センセを知らない読者が手に取った時に、混乱すること多いだろうなぁ、と思ったり。内田センセの忠実な読者にとっては、「持続可能な社会を維持するためには成熟した市民を育成し続けなければならない」というおなじみの論件が展開されているのだけれど。世のオットがこの本を持っていた時のツマの反応というまえがきには笑った。内田センセファンなら安心して読める1冊ですな。少々読者を選ぶかも。 読了日:7月26日 著者:内田樹
濃い味、うす味、街のあじ。濃い味、うす味、街のあじ。感想 京阪神の街場を知り尽くした江さんの新刊。毎日新聞に連載されているものを単行本化。あたしは酒を飲まないヒトで、なおかつそのことを惜しいともなんとも思わないヒトなのだけれど、江さんの本を読む時だけは、あぁ、あたしも酒が飲めたらなぁ…、と思うことしきり。でも、飲む話だけではなく、食べる話も非常に美味しいヒトなので、食べ物屋さんの話だけでも十分すぎる。(江さんの本を読んで、思わず珉珉千日前本店に駆け込んだことがあるw)ヘミングウェイでのお父上とのエピソードは笑えるけど、お店がすごいなぁ、とも思う。達人ならでは。 読了日:7月25日 著者:江弘毅
オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)感想 何度読んでもドキドキしながら、長さを感じずに読ませる本。スターリン独裁時代のソ連スターリン批判からプラハの春にかけてのプラハ、そして現代のロシア(と言っても20年以上前だが)が交錯しながら、甘い思い出と過酷な歴史が紡ぎだされる。米原万里のフィクションではダントツの最高傑作。何度も書いてることだが、嘘つきアーニャをまず予習として読んでから読まれることをおすすめする。これだけのスケールの物語が空々しくないのは、米原の筆力とその経験の賜物。書き出しと結末は決まっていたとのことだが、それも納得。傑作。 読了日:7月24日 著者:米原万里
嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)感想 共産圏(あるいはソ連)の崩壊とは、冷戦終了後の偏狭なナショナリズムの勃興と民族紛争とは、友情とは、誠実さとは、など、様々な観点で考えても、どのような論文やルポルタージュよりも力強く訴えかけてくる本。井上ユリの本で、「ヤスミンカ」も「リッツァ」も健在であることを知ったが、「白い都のヤスミンカ」は何度読んでもやるせなく、また美しい。爽快感とやりきれなさが見事に同居した、米原の最高傑作の1つ。気持ちの悪いナショナリスティックな言論がもてはやされる今日こそ読まれるべき1冊。 読了日:7月22日 著者:米原万里
姉・米原万里 思い出は食欲と共に姉・米原万里 思い出は食欲と共に感想 これは家族にしか書けない。そもそも、米原万里を「万里」と呼べるヒトが他にいるだろうか?(米原が師と仰いだ徳永晴美氏も「万里ちゃん」とか「万里さん」と呼んでたように思う。)米原著作の裏側や意外な(いや、意外ではないかもしれない)繊細さなどが、妹の目線から描かれる秀逸なエッセイ集。米原万里のファンは必読かも。それにしてもこのヒト、米原万里の妹にして井上ひさしの未亡人ってすごいよなぁ。最後の最後に意外な形で「ヤスミンカ」が出てきて、震えた。やっぱ、嘘つきアーニャを読み返そうかなぁ。 読了日:7月21日 著者:井上ユリ
街場の五輪論 (朝日文庫)街場の五輪論 (朝日文庫)感想 東京でのオリンピック、盛り上がってんの?そういや、大阪もオリンピックを招致しようとしてたなぁ。んでもって、まったく盛り上がらず、政府の支援も(お・も・て・な・しも)なく、あっという間に落選したよなぁ。1つの目標に向け走りだした時に、「空気」がそれに異論を唱えることを抑圧する、という指摘は重要。阿川の作品にある、開戦時の海軍大臣が、ことここに至って海軍として開戦に反対はできない、と述べた、というエピソードを思い出す。それから、どんどんいなくなっている戦中派は肌感覚で戦争に反対している、という指摘も。 読了日:7月20日 著者:内田樹,小田嶋隆,平川克美
偉くない「私」が一番自由 (文春文庫)偉くない「私」が一番自由 (文春文庫)感想 没後10年ということで、出版社をまたいだ米原万里フェアをやってるらしい。佐藤優の解説や、「メインディッシュ」の東京外大卒論を酷評してるけど、佐藤の文章に関しては、一応読ませる。卒論については読むのに苦労はしたものの、へぇ、こんな卒論もありなんだ、と感心した次第。著者略歴を見てて、米原が内田センセや平川さんと同い年であることに気がついた。ふーむ、なるほど。オリガ・モリソブナの反語法の解説を読んで、嘘つきアーニャを読み返したくなった。(白い都のヤスミンカ、ね。)米原が、今の日本を見たらどれだけ怒るだろうか。 読了日:7月20日 著者:米原万里
軍艦長門の生涯 (下巻) (新潮文庫)軍艦長門の生涯 (下巻) (新潮文庫)感想 阿川は「保守派」文化人として知られたヒトだが、「リベラル」だった海軍に郷愁を抱いている。今の日本では「保守」と「リベラル」という対立軸ももう成立しなくなっているのかもしれない。(「保守」と「革新」という対立軸は聞かなくなって久しいし。)さて、その阿川が今の日本を見てどう思うのか。世論の「保守化」をいうヒトもあるが、本当にそうか?今の状況を「保守」という言葉ではくくれないと思う。今年は真珠湾から75年の節目。このあと、この国は一体どうなっていくのか、非常に不安。8月15日には城山を読もうと思う。 読了日:7月13日 著者:阿川弘之
軍艦長門の生涯 (中巻) (新潮文庫)軍艦長門の生涯 (中巻) (新潮文庫) 読了日:7月11日 著者:阿川弘之
軍艦長門の生涯 (上巻) (新潮文庫)軍艦長門の生涯 (上巻) (新潮文庫)感想 一体何度目の再読になるやら。阿川もそうなんだけど、ホンマに従軍経験のあるヒトがどんどん鬼籍に入っておられる。あたしの身内にはもう1人もいない。で、従軍経験のある方が、戦争とは、ということを十分に語り尽くすことのないまま、この国は戦後70年以上経ってしまった。こうなると、阿川や城山三郎、あるいは高木惣吉などの著作から、戦争とは?という問いに対する答えを探していかざるをえない。(もちろん大岡昇平でもよい。)果たして、どれだけの「エライ人たち」がそういった、「ナマの兵士の声」に耳を傾けてるんだろう。 読了日:7月8日 著者:阿川弘之
劒岳 〈点の記〉 (文春文庫)劒岳 〈点の記〉 (文春文庫) 読了日:7月6日 著者:新田次郎
八甲田山死の彷徨 (新潮文庫)八甲田山死の彷徨 (新潮文庫) 読了日:7月4日 著者:新田次郎
読書メーター

6月分読書まとめ

2016年6月の読書メーター 読んだ本の数:12冊 読んだページ数:3528ページ ナイス数:20ナイス 陸奥爆沈 (新潮文庫)陸奥爆沈 (新潮文庫) 読了日:6月30日 著者:吉村昭
大本営が震えた日 (新潮文庫)大本営が震えた日 (新潮文庫) 読了日:6月28日 著者:吉村昭
戦艦武蔵 (新潮文庫)戦艦武蔵 (新潮文庫) 読了日:6月25日 著者:吉村昭
難局の思想 (角川oneテーマ21)難局の思想 (角川oneテーマ21)感想 全学連世代の西部先生と全共闘世代の内田先生の対談を見てみたいような気がした。話合うかな、それともムチャクチャになるかな?それも含めて興味ある。まぁ、実現はムリかな 読了日:6月23日 著者:佐高信,西部邁
中核VS革マル(下) (講談社文庫)中核VS革マル(下) (講談社文庫)感想 40年も前、とも言えるし、ほんの40年前とも言える。立花隆が本書を書いた時点では現在進行形の話やったわけで。そういや最近はストってのも絶えて聞かなくなった。前にも書いたけど、JR東日本革マルに支配されてる、とか、本書のような事実を踏まえないで言わないでほしいなぁ。大勲位自身が国労(=社会党の強力な支持基盤)つぶしのために国鉄分割民営化したって言ってるし、「鬼の動労」が一転分割民営化に賛成した時には、みんなが目をむいたわけやし。いずれにしても冷静な筆致が強烈な皮肉になっている。 読了日:6月21日 著者:立花隆
中核VS革マル(上) (講談社文庫)中核VS革マル(上) (講談社文庫) 読了日:6月20日 著者:立花隆
特捜検察の闇 (文春文庫)特捜検察の闇 (文春文庫) 読了日:6月17日 著者:魚住昭
全学連と全共闘 (平凡社新書)全学連と全共闘 (平凡社新書)感想 これですわ!釈先生の不干斎ハビアンで感じたのは。森田実。このヒトよく知らんけど、まさにこの方に近い。西部邁になると、世代が少し若くなって、ノンポリ→ブント→保守しかないけど、森田は軍国→共産主義→保守という二重の「転向」になるんやないか、と。 読了日:6月15日 著者:伴野準一
ぼくたち日本の味方です (文春文庫)ぼくたち日本の味方です (文春文庫) 読了日:6月13日 著者:内田樹,高橋源一郎
不干斎ハビアン―神も仏も棄てた宗教者 (新潮選書)不干斎ハビアン―神も仏も棄てた宗教者 (新潮選書)感想 釈先生の出世作。思い入れたっぷりに不干斎ハビアンの宗教論が語られる。戦国末期のヒトながら、「近代的自我」を持って宗教と対峙したという指摘には心から納得。一方で、本書中でも引用されている中で指摘されているようだが、どうしても「共産主義者の転向者」が頭に浮かぶ。構造としては、軍国主義にどっぷり浸かり、敗戦をもって共産主義者となり、共産主義にも絶望したという世代は多いと思うねんけどなぁ。合理主義的なのかどうかはよく分からないけど、いずれにしても「近代的個」として生きたヒトであるとも思う。大作ながら一気に読了。 読了日:6月9日 著者:釈徹宗
早わかり世界の六大宗教 (朝日文庫)早わかり世界の六大宗教 (朝日文庫) 読了日:6月7日 著者:釈徹宗
日本霊性論 (NHK出版新書 442)日本霊性論 (NHK出版新書 442) 読了日:6月1日 著者:内田樹,釈徹宗
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